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フレームワークを社内に浸透させるポイント

H&innovation staff

 H&innovation株式会社の長町です。

 コロナはビジネスの世界に色々な変化を起こしました。私自身、この1年間、リモート商談やリモートミーティングばかりで、ほとんど紙の名刺を使わず、スーツも着ていません。

 環境の前提も状況も早いスピードで変わり、さまざまな分野で「これをやっておけば正解」ということがなくなりました。そんな今、重要なのは「あるべき姿を自分の頭で考える」ことではないでしょうか。コロナ禍での様々な企業の動向を見てきましたが、コロナ以前のやり方に固執する企業は没落し、新しい変化に合わせてやり方を変えている企業は生き残っています。

 ビジネスにおいて多岐にわたる事柄を決めたり考えたりするのに役立つのが、偉大な先人達が開発したフレームワークです。難しいという印象を持たれている方がいるかもしれませんが、実は、皆さんもすでに子供の頃から使っているものもあるのです。 例えば、3人以上の人が集まって、それぞれに公平に役割を課すためのフレームワークが、あみだくじ。2人以上の人で、数が限られた物を獲得する人を決めるフレームワークが、じゃんけん。
 少しフレームワークへの印象が身近に感じられるのではないでしょうか。

 今日はそんな便利なフレームワークを、あみだくじや、じゃんけん並みに使いこなせる人材を育成する上で、私が重要だと考えている点をお伝えします。


■ 代表的なフレームワークとは? 

 ビジネスで使えるフレームワークというと、真っ先に上がるのは、誰もがロジカルシンキングの研修や書籍等で学んだことがある「ロジックツリー」(物事を論理的に分解する方法)や、「MECE」(モレなくダブりなく)ではないでしょうか。

 ほか、マーケティングにおける「3C分析」(Company=自社、Customer=顧客、Competitor=競合の3視点から現状を分析する手法)、「SWOT分析」(Strength=自社の強み、Weakness=自社の弱み、Opportunity=外部の機会、Threat=外部の脅威の4象限で現状を分析する方法)や、「STP分析」(Segmentation=顧客の分類、Targeting=ターゲットの決定、Positioning=自社サービス・商品の立ち位置を定める、という3視点で対象顧客層や購入理由を定める手法)等もよく知られた、非常に使い勝手の良いフレームワークではないでしょうか。

 こうしたフレームワークは、ビジネスパーソンならば知っているし意味も分かるという方が多いと思います。しかし、実際の企業の現場でいつも感じることは、こうした便利な先人の知恵を使いこなしている人が圧倒的に少ない、ということです。

■ 実際の現場では・・・

 例えばチーム内の会議で、ロジカルシンキング研修から戻ってきた新入社員が、やおら立ち上がり、ホワイトボードにロジックツリーを描き、「チームの目標達成のための施策をロジックツリーで考えてみましょう・・」と課長に呼びかける。または、営業部門の会議で、ある支店長が研修で学んだ「STP分析」を使って、新商品のあるべきポジショニングを議論する・・・そういった場面を現場でなかなか見られないのが現実ではないでしょうか。
 むしろこの事例だと、現場主義の課長に「経験も少ない若手が理屈をこねくり回して!」と一喝される現場もまだありそうです。

 フレームワークはいわば道具です。使いこなさなければ全く意味がありません。学んだ方がフレームワークを進んで、抵抗感なく使える環境でなければ、使うこともなく知識の習得で終わってしまいます。研修以前に、まずはこうしたフレームワークの有用性を「会社として」認め、共通言語として積極的に使いこなす文化を作ることが重要だといえるでしょう。

■ 座学と実践を往復させる

 では、実際にどのような人材育成プログラムを組んだらよいでしょうか。取り組むべき課題は多くあると思いますが、研修においては「あれも、これも」とコンテンツを盛り込みすぎるのは避けてください。育成対象の層にもよりますが、例えばロジカルシンキングがテーマならばロジックツリーとMECEだけに絞って研修し、それを現場の了承を得て実践し、また研修の場でディスカッションし、講師のフィードバックを受けてまた現場で実践し・・・というサイクルを回すのが理想的です。

 以前、ある大手のアパレル企業様から、9割が20代の女性が占める店長職へ「論理的に目標を立て、達成するための施策を考える力が弱い」という相談を受けました。そこで、弊社でロジックツリーとMECEだけ学び、それらのフレームワークを使って次年度の目標と施策を決めるワークを盛り込んだプログラムを実施し、その後も継続しました。その結果「ミーシー」という言葉が受講した店長の間で流行(!)し、定着し、論理的に考える文化が定着した、という効果がありました。ここでの成功の要因として、研修を企画する人事と、営業部門の密接な内容の作りこみがあったことがまず重要です。研修内容と現場の業務が乖離してしまうと研修の効果は見込めません。

 初めての道具を使いこなすには、やはり一定の時間と試行錯誤が必要です。本当にフレームワークを自分のものとするには、このような研修内容の絞り込みと実践と座学の往復、継続が大事だと思います。


 
 日本のホワイトカラーの生産性の低さ(2019年度データで就業者1名あたりの労働生産性はOECD加盟37か国中、26位)は、先人の偉大な知恵であるフレームワークを使いこなし、
徹底的に考えつくす文化がないことも一因ではないでしょうか。  

 ぜひフレームワークを道具として使いこなせる人材を増やして、職場の生産性の向上に役立ててみてください。
そのお手伝いもさせていただきますので、お気軽にお声がけください。

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