自立自走する若手を育む「心理的安全性」とは何か
みなさんこんにちは。星加です。昔大好きだった春が、花粉症のせいでつらい時期になりましたが、それでも色とりどりな花が咲き出すのは嬉しいものです。
さて、前回のブログで、
● 心理的安全性が高いこと
● 適切なハードルが設定されていること
が、研修においても、日々の組織における現場においても、学習、エンゲージメント、パフォーマンスに素晴らしい効果をもたらすことを述べさせていただきました。今回のブログでは、「心理的安全性」について、もう少し詳しくお話いたします。
■ 若手の主体性を促進させる「心理的安全性」とは
まずは、逆の「心理的安全性がない」というのはどういう状態かを考えてみましょう。
言葉のイメージからすると、ビクビク、ドキドキしている、周りの様子ばかり伺う、といった様子が浮かびますよね。例えば、皆さんも子ども時代に「親から怒られるから」とか、「先生から評価されなくなるから」という理由で、宿題などに嫌々向き合った経験はありませんか。その時辛い思いをし、次回こそは早めに取り掛かろう、きちんとやろうと思っても、結局自分からやる気にはならず同様の繰り返しをしてしまった方も多いのではないかと思います。
こういった状況は子ども時代の話に限らず、仕事の現場においてもよくある話です。上司に言われたから取り組む。怒られたくないから取り組む。悪い評価をつけられないように、必死に取り組む。そういった状態の時、はたして主体性は育まれるでしょうか。
もちろん、緊急な時、危機的な状態が発生するかも知れない時など、怒ること、厳しく接することが必要なこともあります。ですが、主体性を育むという観点で見た時、果たしてどうか。そういった状態に置かれ続けると、むしろ、余計なことをしないほうがいい、言われたことをやっていくのが一番安全だ、といった気持ちが醸成されてしまい、ますます主体性が奪われていくことも想像がつきます。受け身で仕事をする状態が強化されていく。これは、自分の子ども時代の体験と重ねると納得がいきます。
■ 不安や怖れなど無意識レベルの「ブレーキ」に気づき、取り除くことが重要
ではどうすれば、若手が自らやる気になり何かにチャレンジしたくなる関わり方や環境を整えられるのか。
それは、直接やりなさいと命令するのではなく、彼らが主体性を発揮するのを止めている、不安や怖れといった無意識レベルの「ブレーキ」となっている要因に気づき、それを取り除くことに焦点を当てることが大切になってきます。
もし皆さんの周りに「あの若手は・・・」と困っている方がいるとするなら、その人になりきって、ブレーキとなっている要因を想像してみましょう。
例えば、
・人間関係における不安
・環境に対する不安
・置かれている課題、取り組むことに対する不安
などがあります。
浮かびましたでしょうか。これらの不安、恐れからくる感情の動きに、どれだけ行動が影響を受けるのかを私達は理解しておく必要があります。
人間も動物です。諸説あるそうですが、思考を発達させて言語を生み出してからまだ数万年。生物学上ではつい最近のこと。今でも、行動や思考に影響を与えている“感情”は、爬虫類の脳と言われる「扁桃体」と言われる部分が司っています。ですから感情は非常に動物的、原始的、反応的です。初めて会う人は敵かもしれない、と怯える。強い相手が現れ、攻撃される可能性が出てくると、逃げるのか、戦うのか、どうするのか?と身構える。そして、何か新しいものに自らチャレンジする状態ではなくなります。
さて、皆さんの現場の若手と、育成担当をするリーダーや上司の関係性はどうでしょうか。若手にとってその方は、主体性を育む、見守ってくれる存在でしょうか。それとも、不安や恐れを生み出す、過剰な指導、命令、支配的な接し方をする敵のような存在でしょうか。
この変化の激しい時代において、言われたことだけをやる人を育てていては、組織として、会社として、生き残れなくなってしまいます。これまで以上に、皆が本来持っている力を存分に出し合い、互いに能力を最大限活かし合うことが、これからの組織に求められています。
これらは、頭で理解するだけではなく、研修や実際の仕事現場の体感を通して習得していくことが重要です。
研修でキッカケを創り、現場で起きたことをフォローによるサポートにより身につけていく。
そのプロセスを通して、若手が本心から“やる気”になり、自らチャレンジし成長していく、それを可能とする、心理的安全性のある関係性作り、組織作りのお手伝いが少しでもできれば幸いです。